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「失敗」をしないという事が決して正しいワケではない。【転職・採用の課題】

 

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Books&Appsのとあるブログの話

先日読んだブログを紹介させてください。

“四一歳の知人から、転職相談を受けた。”というブログで、facebookでは現時点で1695イイネを獲得しているブログなので、既に読んだという方もいるかもしれないですが…。

blog.tinect.jp

私は仕事で10年程採用に携わっているので、タイトルを見てすぐにクリックをしてしまいました。

「41歳かぁ…。」採用市場を知っている人なら、誰しもがこの転職の危うさを感じると思います。

 

ブログは「私だったら…」と思った結論と筆者と同じだったので、読み終えた直後は妙な爽快感がありました。

が、その後じわじわとボディブローのように「転職」と「失敗」について考えさせられました。

「転職」と「失敗」

ブログでは、こう書かれています。

「ビジネスは失敗がデフォルト」なのに、「成功は失敗より当たり前と考える人物にとって、転職は凄まじくハードルが高い。」と。

そう、失敗と成功の確率を考えた時に、現実と理想が逆さになっている場合があり、転職に関しては「成功して当たり前」だと、入社する前から決めている人も多いのです。

失敗は決して負債ではない

彼の出世できない原因も、そこにある。彼はずっと、四一歳になるまで「失敗」をしてこなかった。それはすなわち「チャレンジ」をしてこなかったと言うことと同義である。

逆に彼が羨む二〇代、三〇代は若いうちからチャレンジをしている。彼らは結果的に転職先で失敗するかもしれないが、その経験は生涯に渡って生きるに違いない。

ブログより引用。

 

失敗については、元電気通信大学教授の中島義道さんが「プロ論」という本の中でこう述べています。

失敗は人生の免疫である。味わい尽くし分析せよ。

(中略)

私の若い時代は失敗の連続でした。今で言うひきこもりのような時期もあった。37歳まで、定職に就くこともなかった。希望はかなわず、挫折ばかりでした。しかし、人生の中で一度も失敗しない人などいません。逆にそういう人は、一度の失敗が命取りになりかねない。

失敗経験は、人生の免疫となるのです。失敗したときは、ごまかしたり、慰めたりせず、徹底的に失敗を味わい尽くしてください。どう悪かったのか、何が問題だったのか徹底的に自問自答する。そんな風に悶々と苦しみ続ければ、自分の弱点が分かります。いかにどうしようもない人間かが分かります。その弱点に気付いたら、今度はそれを伸ばすことです。弱点は裏を返せばあなたの最大の長所なのです。過酷かもしれませんが、自らを見つめる事が才能を伸ばす一番のヒントなのです。

私の主観では、先に登場した大企業に勤めている41歳の人は「ちゃんとした大人」で、中島教授のように37歳まで定職に就かなかった人は「ダメな大人」だと、勝手に決め付けていました。

しかし今回のこのブログで、人は肩書きではない、と強く思い知らされました。

41歳の出世が出来ない事を理由に転職を考えている彼は、自分の弱点に気付いているでしょうか?

大人として、自分の弱点を補強し、長所に変えようとする努力をしているのでしょうか?

だからといって、37歳まで定職に就かなかった人が、全て素晴らしいという事は言っていません。

この件は中島教授が哲学者だという事が大きな要因です。

 

転職のシーンでは、人事はまず履歴書と職務経歴書からフィルターに掛けます。

その人がどんな考えで、この経歴を歩む事になったのか、知ろうとする時は面接まで進んだ場合のみです。

けれど、ほとんどの場合、年齢でフィルターに掛けられ、40代、50代の転職希望者には大変厳しい状況です。

年齢フィルターって何なんでしょうか。

ブログの文中にあるように、20代、30代は失敗を怖れず、チャレンジするから良いのでしょうか。

それなら、40代、50代も若い世代に負けないチャレンジ精神を持つようになれば、転職面談の機会を得られるようになるのでしょうか。

いや、企業は「40代以上は扱いづらい。経験豊富だから自分のやり方を変えない」と口を揃えて言います。

 

実は先月、弊社は50代の女性を採用しました。

当社の代表はクイックレスポンスを提唱しており、その効率を上げる為にGoogleApps等のオンラインアプリケーションやSNS等を導入していますが、その50代の女性は誰にも使い方をレクチャーされる事も無く、使いこなしています。

それは彼女が経験豊富だから、どうやって調べたら使い方を習得できるのか、知っている、ただそれだけです。

レスポンスは若いスタッフよりも彼女の方が早いです。

しかし、世間的には「50代女性はITに弱いからついていけない」と一蹴するでしょう。

そんな事は無いのです。彼女がそれを証明してくれました。

「採用」で得た失敗も味わい尽くし、分析できる人事に

人は誰でも失敗します。

それが本人の免疫となり、いずれ財になるまで許容し合える社会であって欲しいと思います。

同時に、「採用」というプロセスでも失敗を企業はちゃんと認め、改善を繰り返す事が重要だと思います。

年間に何百、何千万円も掛けて採用媒体や人材紹介を使用し、応募者を募り、何人、何十人も採用しているのに年間の離職者数が減らない、人が育たない企業は、今も日本中に溢れています。

採用経験がある人事はどんどんハードルが上がり、「とにかく辞めない人、活躍できる人を採ってほしい」と言われるのに、企業内のHRマネジメントも追いついていない。データが無い。

"辞めない人"ではなく、"辞めたけど他社に取られた人"こそが、実は優秀な人だという事も、"採らなかったけど実は活躍できる人"もいる事も、あまり見ないようにしていると思います。

特に後者の"採らなかったけど、実は活躍できる人"が潜在的にどのくらいいるのかは、早く気付いた方が良いです。

人材採用のチャンスロスをしています。

人事コンサルが出来る事

様々な採用の結果を失敗と受け止める事、それを味わい尽くし、分析をする事。

そして転職のチャンスが特定の人材層に偏らない採用の最適化を、私たち人事コンサルがまず提案し、早急にサポートをしなくてはと思います。

 

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